田舎での仕事づくり~珈琲の焙煎その1~

半年ほど前から、僕は珈琲の焙煎をはじめた。

生豆をネットやお店から購入し、手網で焙煎する。手網焙煎とは銀杏を煎るときに使う網の器具で、ガスコンロの火であぶりながら使う最も初歩的な焙煎方法だ。

もともと珈琲通だったわけではなく、挽いてある豆をスーパーで買ってきて、珈琲メーカーで淹れたことしかなかった。それどころか焙煎をはじめるまで、ミルで珈琲豆を挽いたことすらない。

では、なぜ焙煎?

最初の動機はとてもいいかげんなものだ。
「珈琲の焙煎という言葉の響きに惹かれて」

ふつう「自宅で豆にこだわった美味しい珈琲が飲みたくて」みたいな回答が動機として正解なのかもしれないが、そうではない。美味しい珈琲が飲みたいのなら、プロが作る焙煎豆を購入したほうが、すぐにでも美味しい珈琲が飲める。

つまり珈琲を焙煎するという行為に惹かれた。誰の手も借りずに、原料に人の手を加えて、美味しい飲み物をつくることに集中する。磨くのは話術ではなく、自分の腕。そういう仕事が自分には向いている気がした。

ただ、職人のような人になりたいかというと、それも違う。プロの焙煎士というと、職人というイメージがあるが、自分の場合はちょっと違う。長い年月焙煎所で修行をしたわけでもないし、焙煎一本で仕事していきたいわけではない。そもそも焙煎士と呼ばれる人が焙煎する仕事とは規模が違う。自分はもっと小さなものだ。

自分はただ、美味しい珈琲を焙煎できる人になりたい。そう言ったほうがしっくりくる。
そして、珈琲という飲み物がもつ文化にも魅力を感じる。珈琲のあるところに人が集まり、コミュニケーションが生まれる。そういう場を作り出すことができる。それはカフェかもしれないし、川辺のキャンプで淹れる1杯かもしれないが、とにかく楽しい場をつくることができるのも、珈琲の魅力だ。

だから、珈琲の焙煎を仕事にすることに魅力を感じた。
そして僕がいま住んでいる環境も焙煎の可能性を後押ししてくれる。

自宅の庭には昔、麻雀パイやタバコの葉づくり、レンズ加工などをしていたハナレの建物がある。とても古びているので、そのままでは使えないが、キレイにすればそこで焙煎をすることもできる。お隣りさんとの距離も離れているので、焙煎時に発生する排煙が迷惑になることはない。

焙煎をするために毎月お金を支払って空き店舗を借りる必要がないから、保健所などの必要な手続きと焙煎機さえ用意すれば仕事を始められる。開業のために借金をせず、出ていくお金が少なければ、売上目標に苦心しなくてもいい。
もちろん、この仕事は小さな生業だからこそ成り立つ。月に数万円くらい稼ぐ規模の仕事にすることが目標だ。
たくさんお金を稼ぐには、一度に多くの豆を焙煎できる機械が必要で、数百万円もする。それは自分がやりたいことではない。

まだいろんな課題がこれから出てくるとは思うけど、とりあえずやってみようと思う。


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