地域おこしとお金について。その2

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(その1からの続き)
僕のブログを見たある年配の専業農家の方から、僕あてにメッセージをいただきました。その方は農協に属さず、自分ひとりでいろんな農作物を作りながら、都市部での販路も開拓した方で、苦労しながら成功を勝ち取った方です。そして現在は新規就農を目指す若い世代に、農業の豊富な知識と経験を伝えているそうです。「タッキー君、あなたも来てみませんか。お話ししたいことがいっぱいあります」というありがたい言葉と電話番号が書かれていたので、早速連絡してみました。
そして1時間ほどいろいろなお話しをしました。門外漢の僕が言うのはおこがましいのですが、僕はその方の生き方を立派だとそのとき思いました。と、そこまではいいのですが、ひとつ気になったことがあります。それは英田上山棚田団の活動について、その方が否定的だったことです。棚田団の活動は「地域おこしにならない」とおっしゃるのです。
その理由が知りたくていろいろと訊ねてみたのですが、最初はいまひとつピンと来ません。しかし1時間ほど話しをしてみて、ぼんやりと見えてきたのです。

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上山棚田団は発足当初、ゴミが詰まった用水路の掃除と荒れ放題になっていた8,300枚の広大な棚田のツタや雑草を取り除き、本来の姿を取り戻す活動からスタートしました。地元の人に喜ばれ、次第に外から人が集まるようになってきて、現在では地域おこしという観点から多角的な取り組みをしています。ソーラーパネルや小水力発電などグリーンエネルギーを活用した電力の自給を目指す取り組み。参加費を募って都市部の若者を呼び込み、棚田で地元の人と協力しながら田植えや稲刈りをするグリーンツーリズム。できたお米は600g/1,000円で棚田米として販売し、売り上げの一部をかつて上山棚田団とコラボレーションした、コミュニケーションアートのプロジェクトに寄付。また賛助会員を募集して上山で定期的に開催されるイベントの案内をしたり、棚田米を会員価格で販売。年会費は個人で一口3,000円、企業で一口10,000円〜。そのほか古民家を再生して地域の交流拠点としたり、手つかずで放置された杉檜林を管理し雇用の創出を図るなど、新しいビジネスモデルを開拓しているのです。

こうした活動を行う英田上山棚田団を「地域おこしにならない」とおっしゃった専業農家の方の考え方が次のひとことでようやく分かりました。
「外から人を呼び込んで、農作業をするためにお金を取るなんて、、」。

英田上山棚田団の代表である西口さんも「都市部から若者がお金を払ってまで農作業をしにやって来ることは、上山の人には衝撃みたいですよ」とおっしゃっていました。おばあちゃん家に行って野良仕事を手伝うということを身近な体験としてもっている僕の友人もしかり、もともと農村や里山の生活環境に近い人ほど、都市部の人の“お金を払っても農業体験したい”という感覚を見えづらくするのかもしれません。
田舎の人自身が自分たちの土地を何もないと思い込み、しかも何もない田舎に人を集めてお金のやりとりが発生することを“あまり感心しない”と決めつけてしまっているように思えるのです。しかし、上山の集落の方たちは棚田団の活動をほんとうに喜んでいます。

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※イメージ

地域おこしという活動の本質は、時代に取り残された過疎地域に人が集まり、時代に沿う仕組みを作りながらもう一度人が住める場所に復活させることだと思います。そのために新しいビジネスモデルを構築し、持続可能な地域社会を作ろうとしているのです。お金儲けを第一に考えているのなら、もっと利益も効率もよいビジネスをしたほうがいいでしょう。また、観光地への旅行やアミューズメントパークに出かけて行ってお金を使うことと、過疎化の進む村に行って農業体験にお金を払うことに特別な違いがあるようには僕には思えません。環境意識や楽しむことに対する価値が、時代とともに変化しているということを、田舎に集まる若者たちが証明しているのではないでしょうか。

僕はその専業農家の方にそれとなく問いかけてみました。では過疎集落はどうすれば再生するのか。耕作放棄地になってしまった文化遺産ともいえる棚田はそのままでいいのか。そうした現状を前に、地域としてこれまでにどういう取り組みがあったのか。
それに対する考えや意見は、その方から最後まで聞くことはできませんでした。

こうした出来事は僕に別の視点というものを与えてくれました。そして、地域おこしとビジネスモデルの関係について、より興味を抱くようになりました。まだまだ知らない過疎地域とそれに関わる人を知り、その取り組みを発信していこうと思います。


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1件の返信

  1. 28/12/2012

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