地方でいかに仕事をするか。


IUJターンを考える人の数はここ数年増えていて、特に最近の傾向は20〜30代を中心とした若い世代に移住志向が広がっているようだ。

もちろん移住を成功させるためにはさまざまな準備期間が必要で、目的を急ぐとあまりいい結果にはならない気がする。

僕自身もまさに準備期間の真っ最中。その中でも特に計画的に進めていかなくてはならないのが仕事だ。移住先での仕事の道筋をつけることができれば、移住の可能性は大きく広がる。田舎に行ったら畑はやってみたいが、なりわいにするわけではない。かと言って未経験の立場で地域の会社に就職するのは本来の目的を見失っている気がする。であるならば、できるだけ今までの経験を活かしながら収入を得たい、というのが自分の考えだ。

僕はほそぼそとライターを続けてきたが、その職業を地方にもっていく状況をなかなか作ることができなかった。それどころか、東京に住んではいても、ライターとしての仕事が減り、移住が遠くに霞んで見えた。そんなときにヨメから何気なく言われたひとことで道が開けた気がする。

「WEBのコーディングをやってみたら」。

コーディングとは、デザイナーが作ったWEBサイトのデザインどおりに、ホームページを組み立てていく作業で、プログラマと呼ばれる職種。建築士が作った図面に従って家を建てていく大工さんのような感じだ。僕はインターネットが普及し始めた頃、WEBデザイナーになりたくてスクールに通っていたことがある。結局編集者の道を選び、WEBデザイナーにはならなかったのだが、基礎知識はもっているつもりだった。

そして僕は勉強を始めた。しかし日々進化するWEBの世界で、15年以上前のスキルなど、あまり支えにはなってくれない。知らないことが次から次へと出てきて、完全にウラシマ状態。それでも少しずつ知識とスキルをつけていき、まずは知り合いの飲食店の公式WEBサイトを格安で作らせてもらった。自分が参加をしているNPOのリニューアルサイトも悪戦苦闘しながら制作した。なりわいにするにはまだ心もとないが、実際に稼働するウェブサイトをひとつでも多く作りたかった。
そして、ある程度コーディングができるようになると壁に突き当たる。これで継続的にお金をいただいていくためには更なるスキルアップが必要だ、と思うようになる。
そこで、ライター業を続けながらWEBの制作会社にアルバイトで入ることにした。まさか40歳の実務未経験者を採ってくれる会社があるとは思わなかったが、なんと幸運なことに最初に面接をした会社で採用が決まった。

僕はこれだけネットインフラが発達した今、ネットで仕事ができるならば、東京にこだわる必要はない、とずっと思ってきた。
その思いの追い風になってくれたのは、最近のクラウドソーシングの活況である。業界大手の「ランサーズ」をはじめ、現在多くの企業がクラウドソーシングに参入している。
クラウドソーシングとは、仕事を求めるフリーランサーと業務委託したい企業をWEB上でマッチングする、新しい雇用形態のサービス。これを利用すれば、フリーランスにとっては、クラウドが自分の代わりに仕事の営業をしてくれるようなもので、しかもネットを介して仕事を完結することができるというわけだ。
一度「ランサーズ」の担当者に話を聞いたことがあるが、副収入として利用する会社員や子育てをしている主婦など、このサービスの利用者は年々増えているようで、これからの働き方を大きく変えていくかもしれない。どんな地方の中山間地に住んでいても、ネットインフラさえつながっていれば、自宅で仕事ができる。近くの地方都市に働きに出ることもない。これは田舎暮らしや家族との時間を大切にした生活を望むものにとって、朗報であろう。

僕はWEBのコーディングが性格的に向いている気がしていたものの、仕事としては目を向けてこなかった。学校を卒業したバリバリの若い子と勝負したって、敵うわけがない。もっと自分の経験で稼げる別の仕事をしたほうがいい。そう思ってきた。だけど今は違う。WEBのコーディングの仕事は、地方移住への十分な足掛りになってくれる職種だ。だから今は東京でじっくりと経験を積むことにした。
そんなことをしていたら、あっという間に1年が過ぎてしまった。いろんな活動の時間を横に置くことになったが、悔いはない。自分が望む方向を目指して試行錯誤し、変化していくのは自然なことだし、ワークライフバランスを考えた生活を実現していくためには、必要な道のりなのだと思っている。



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