地域活性化の舞台裏

「地域活性化」や「町おこし」という言葉。
今では聞き馴染みのある言葉だけれど、この全国的なキーワードはどれくらい実践され、形になってきたのだろうか。成功した例は地域おこしに関わる人たちや団体の中で、全体の何パーセント存在するのだろう。
そもそも成功例と一口に言っても、何をもって成功と言うのか。

地域活性化に関連するメディアには、新しい場をつくり、人をつなぎ、着実に地域を盛り上げている人たちの記事が載っている。
メディアに掲載されると、いろんな所から引き合いがあり、講演や視察の依頼が来るという。
でも、講演や視察をして、それを持ち帰った人たちがどれくらい自分の地域で参考にし、取り入れてきただろう。

地域おこしを仕事にしている僕は、いろんな人に会うので、地域活性化の話題になることも多い。
「立派な施設を作れば、人が集まるようになるのでは」という意見。「旅がらすや町娘の着物を着て、里山で写真が撮れるサービスがあれば、外国人が体験しに集まるのではないか」という意見。「地元特産品を使った加工食品を開発すれば雇用が生まれて、地域が潤うはずだ」など、その是非はともかく多くの人に持論やアイディアがあり、なんとかできないかと思っていることは確かなのだ。ただ、それを自分で実行しようとする人はあまり見当たらない。若い世代は仕事と子育てに忙しく、地域のことを考える余裕はない。だから、僕のようなよそ者が来て、仕事にしているわけだ。地元の人はメディアに登場するような、地域に変革をもたらす人材を待ち望んでいる。

地元の人の了解を得ずに、よそ者が勝手なことなどできないという気持ちが、少なからず自分の中にある。
しかしそれに縛られていると、思い切ったことができなくなる。そしていつのまにかできない理由を言い訳のように考えてしまい、何もできなくなってしまう。

僕は1年間地域おこしの仕事をしてきて、ある考えに行きついた。
全ての人の意見を聞き、それを集約して企画を実行していくことは、そもそも無理。やるのは自分なのだから、自分が信じることをやればいい。それがたとえうまくいかなかったとしても、失敗ではない。また別のアプローチに軌道修正していけばいい。小さいことでもとにかくやってみることと、継続することが大事なのだ。地域おこしという難しい課題が、最初から順調に成功していくと考えるほうが図々しいのではないか。

人の聞く耳をもたない勇気が、この仕事には必要だ。
いろんな人の意見を集約したアイディアは、最初の勢いを失い、焦点がどんどんぼやけていく。
だから、まずは自分が面白い結果をイメージできることを進めていこう。

僕が今住んでいる家から車で5分のところに、地域のコミュニティサロンがオープンした。
今この場所を事務所として使い、施設の利用を促進するためのお手伝いをしている。
元材木倉庫をリノベーションした建物は、イベントやワークショップが開ける広いスペースがある。地元の人が立ち寄ってお茶したり、町内外の人が豊かな里山資源を活用できる交流拠点に成長させるのが、主な目的だ。
飲食を提供できる調理場を備えているので、普段は里山のカフェとして接客もする。

今の自分の活動についていろんな意見を耳にするが、とりあえず納得感をもっているし、やりがいも感じている。
飲食店を仕事にしたことがない素人がお店をやっているのだから、プロの飲食店と比較したら足りないことはいくらでもある。お店としての雰囲気づくりやマナー、営業形態や使っている食器や置かれているもの。いろんなことがまだまだ足りていない。その「足りてなさ」は瞬く間に地域に広まり、噂となって自分の元に帰ってくる。地域のコミュニティサロンという存在は、純粋に飲食店として目指すべきサービスとは違う意味をもっている。それが諸刃の剣となって、店舗としての詰めの甘さにも繋がる。
それでも常に改善と継続を忘れなければ、少しずつ状況をひっくり返して、地域に根付いていくのではないだろうか。すぐに結果が出なくても、めげない。もし諦めたら、この地域をより活性化から遠ざけてしまうという責任もある。この場所を足掛かりに、活動内容やエリアを広げていきたいと思っている。

地域の人と一緒にひとつフラッグを立てることができたら、次に続く人が現れるかもしれない。
だから、自分の住んでいる場所をもっと面白くしたい。

◎コミュニティサロンについての詳細はこちら
https://www.facebook.com/ionojinya/


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