空き家に住み始めた

那須町の里山に空き家を見つかてから2か月。元空き家での生活が始まった。

これまでに蜘蛛の巣を払い、砂壁を落とし、古い赤じゅうたんを剥がした。
汚れたトイレや風呂を磨き、キッチンの壁紙の油よごれを拭き、畳を上げて風を家の中に取り込む。

そんなことをしているうちに、次第に家の中からカビ臭さが消えていった。

東京では一軒家を借りていたが、荷物は目いっぱい家じゅうの部屋に押し込まれていた。
だから、引っ越し先でも段ボールが山積みになるのを覚悟していたのだが、結果は意外と家のスペースを圧迫しなかった。

やはり家が広い。ほとんど平置きの荷物を見ながら、当たり前のことを思った。

ただ、掃除をしたとはいえ、何年も空き家だった家の持つ雰囲気は、簡単には消えない。
ヨメと二人で暮らし始めて早々、自分が東京に出かけることになり、3日間家を空けた。ヨメは夜一人で家にいるのが怖くて、毎日、近くに住む友達の家に寝泊まりした。

東京の新居に引越しするのとは、ちょっと事情が違う。
だけど、翌日は視界の先にある山の稜線から、陽が昇る気持ちのいい朝が訪れる。
旅先の宿にいるような、朝。

そうかと思えば、家の中では、どこからとこなく虫が現れる。
そんな調子で、いいことばかりではないが、とにかく今の生活を楽しんでいる。

埼玉の町なかで生まれ育ち、大人になってからも東京の生活しか知らない僕にとって、ここでの生活は新鮮さと喜びに満ちている。

玄関を開ければ、新鮮な山の空気と里山の景色が広がる。
車に乗り込んで仕事場へと向かう道の途中には田園風景が広がっていて、職場に向かうというストレスが全くと言っていいほどない。

地域おこし協力隊だということも関係しているが、仕事をしているという意識が、いい意味でとても薄い。地域のことを考え、そして自分と家族の将来をこの場所で作っていくための活動。
経済活動としてのノルマに、精神を圧迫されることはない。
自分ごとだから、頑張るほどに将来の生業の道が開けていく。生きていくことの責任は、いつも自分の手元にあって、誰かに握られていることがないから、心は自由で開放されている。

もちろん、不安になることだってある。
役場の人から農家の人。レジャー施設の社長さんから町会議員さん。
毎日、たくさんの人と出会う。立場も違うし、考えることも違う。そしてみんながどこかで繋がっている。

移住を喜んでくれることもあれば、壁を感じることもある。
自分は移住者で、ずっとヨソ者であることに変わりはない。
暗黙の了解が理解できずに地雷を踏んでいるのではないか。そんな不安が波のように押し寄せては引いていく。

だけどそれを気に病むことはない。那須の自然は僕の不安を中和してくれる。


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2件のフィードバック

  1. avatar やす より:

    移住してからの生活は如何でしょうか。
    那須での生活についての記事を楽しみにしています。

  2. avatar tuccky より:

    メッセージありがとうございます!
    書き込みが空いてしまっていますね。

    先日、友人にも言われました。そうした声があることが一番のモチベーションになります。
    持続的に書いていきますね。ありがとうございます!!!

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