第1回 移住先が見えてきた。


このブログを始めてからいろんな地方を巡ってきたが、「ここだ」という移住先がなかなか決まるには至らなかった。焦らずいこうと思ってはいたものの、やはり場所くらいは絞り込んでいきたい。しかし門戸は開かれていても、地縁のない土地に飛び込むことになかなか踏ん切りがつかなかった。

そしていま感じることは、移住先の決め手はやはりそこに住む人との出会いだ。
ただの出会いじゃなくて、「この人がいるなら、自分も住んでみたい」と思えるような人との出会い。
似たような価値観をもち、自分たちがやりたいと思っている生活を、実践している人たちがそこにいると、かなり勇気がもらえる。
そして、できればその人が自分と年齢の近い移住者の先輩だと、もっといい。

移住を考えている人にとって、先輩の話は非常に参考になるし、生活のイメージがつきやすい。
さらに、地元の人を紹介してくれたり、パイプ役になってくれるのも非常にありがたいのだ。

そして。
39歳から活動を始めて2年、僕はようやく移住先を見つけることができた。
栃木県、那須町。

実はこの土地は僕にとって縁のある場所だ。
自分の両親は今、那須に住んでいる。別荘として10年以上、実家のあった埼玉県さいたま市と那須とを往来してきた両親が、昨年から定住をはじめた。

だから今まで僕は何度も那須に来ているし、大好きな場所だった。けれども、那須はずっと移住の候補地ではなかった。
いつかは親の面倒をみるようになるということが、頭から離れたことはなかったが、移住先は自分たちが見つけた場所にしたいという思いがずっとあった。ヨメさんは海が好きで寒いのが苦手。しかも海産物が大好きなので、新鮮な魚が豊富に食べられる土地が望ましかったことなど、まぁいろいろあった。

那須は茶臼岳を望む観光地として有名で、おしゃれなお店もいっぱいある。両親の自宅も高原の別荘住宅地にあり、自然豊かな場所で快適に生活できるのが魅力だ。
しかし僕たちが目指したい生活のイメージは少し違う。いや、だいぶ違うのかな。

別荘地にいると、もともと地元に住む人たちとの交流は、あまりない。那須町は西は別荘地が立ち並ぶ高原のエリアで、標高の下がる東は地元の人が住む、里山のエリア。外からやってきた別荘地の人と地元の人の住むエリアが違うのだ。

那須高原はとにかく自然が美しく、森の中には薪を庭の小屋にストックした素敵な住まいが点在している。森も十分ステキなのだが、それでも僕は田園や畑が広がる、視界の開けた里山の風景が好き。そしてそこで暮らす人たちの、素朴だが生活の知恵に満ちた生き方に、いつしか憧れるようになっていった。

自分の両親に、さいたま市に住んでいたときと現在の生活費を聞いてみた。
ほぼ、同じ。いや、少しばかり高くなったかもしれないそうだ。食べ物はスーパーで買い物をするし、冬の寒さが厳しい那須では暖房費もそれなりに掛かる。那須の別荘地では結構珍しいと思うが、二人とも自動車免許を持っていない。もし車を持っていたら、ガソリン代で支出はもう少し上がるだろう。

僕は田舎に住みながら、都市部と同じだけの支出が求められる生活にあまり魅力を感じない。というより、その生活水準を保つだけのお金を稼ぐ暮らしは、自分たちが田舎に暮らすことの意味を根本的に失う気がする。

断熱材がしっかりと充填された快適な住まいは確かに魅力だ。しかし僕にはお金をよく消費する家は必要ないと思っている。そもそも残念なことに、僕にはそんな家を買うお金も持っていない。新築のキレイな家を買うということに20代の頃から魅力を感じていなかった。
「30年以上の住宅ローンを組むなんて、怖くてできない。だって、これから先どんな時代になるかなんて、誰にも分からないんじゃない?」って、多少強がりで周りの人に言っていた気がする。
そして近年は経済偏重の社会、大量生産、大量消費の限界がみえてきて、いかに生きることが幸せで、真の生活力を身に着けることになるのか、問われてくるような気がしている。

なぜ、那須にしたのか。
ひとつには土地との縁だ。那須の自然が自分にとっては大きな魅力であることは間違いない。
そして、ヨメさんが那須に住みたいと思ってくれた。やっぱりこれが大きい。
簡単ではなかったが、長い時間じっくりと気持ちを交換して、お互いが求めるものとのすり合わせをしていった。
このプロセスなしに、移住先を決めることなどできない。

那須に行こうと決定的に思ったのは、人との出会いだ。
いろいろと調べていくと、那須には同じ世代に面白い人が結構いることがわかってきた。
自分の価値観に照らし合わせて、しっくりとくる人たちが住んでいる。
これはヨメさんにとっても大きかったようで、かなり期待に胸を膨らませている。

そして最終的に僕たちが出した結論は、「楽しく生きるために、引っ越ししてみよう」ということ。
いたずらに「移住」などと大きく考えない。移住大作戦なんてタイトルのブログをやっているくせに、最後にはその言葉の大きさに自分を縛らないでいようと考えるようになった。まぁ、これからも移住大作戦でいきますが。

さて、自分たちの家探しが始まる。楽しみだ。



あわせて読みたい