瀬戸内の島々をめぐる


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小豆島で瀬戸内の旅2日目の朝を迎えたこの日、次の目的地である豊島(てしま)に向かう前に土庄港周辺の作品を観にいくことにしました。
土庄港からバスで約5分、土庄本町は役場や商店街、飲食店、昔ながらの街並みが集まる土庄町の中心地。家屋が密集して建ち並び、道が入り組んでいることから“迷路のまち”と呼ばれています。ここには「目」という家屋全体を利用した作品が展開されています。生活感が残る家具や食卓、和室などをそのままに、本来の家の間取りを無視して新たに作られた動線を歩いて室内をめぐる、アトラクション要素の強いプロジェクトです。たとえば廊下の先にある観音扉を開けると、そこは和室になっていて、実は自分がクローゼットの中から出てきたことに気づくような仕組みになっていたり、子供心に戻れる摩訶不思議な空間を作り上げているのです。残念ながら撮影禁止のため写真はありませんが、オススメのスポットです。

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この「目」プロジェクトをコーディネートしているのは、この町でアートギャラリーやショップ、カフェを運営している「MeiPAM(メイパム)」。古くて立派な蔵を改装したギャラリー前まで来ると、若いスタッフの方が気さくに声を掛けてくれました。作品が展示されている蔵はここの他に2カ所あり、ざっくりとした蔵の場所を記した地図を片手に迷路のまちを歩きながら蔵を探し当て、作品を観てくださいという趣向を凝らしたもの。ここでも迷路のまちと一体になった地域密着型プロジェクトであることがうかがえます。

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作品を見終わってから「MeiPAM(メイパム)」の事務所が置かれた蔵に戻り、スタッフの女性の方と少し小豆島のことについてお話ししました。過疎化が進む中で、学校などの必要な施設が統廃合で特定の地域に集約されつつあること。そんな中でも地域おこし協力隊の人たちが地元の人と一緒に小豆島を盛り上げようと頑張っていること。近年、若い世代の移住者が増えていることなど、いろんな角度から島生活についてお話しを聞くことができました。僕自身、小豆島についてこれまで調べ、情報として知っていることと、実際とのすり合せをしたいと思っていました。島の人の考えや人柄など、現地でしか分からないことを肌感覚で知りたい。これは移住大作戦という僕の活動のほんの小さな試みでもあるのです。この瀬戸内の旅で僕が感じたのは、島の人はちょっとシャイですが実は暖かい人が多く、親切であること。島を人が訪れることを喜んでいるが、同時に島の未来に対して心配の眼差しも持ち合わせている。島が小さければ小さいほどそれらの傾向が強いのでは、という気がしました。

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小豆島は90年代に大々的に行われた市町村合併、いわゆる平成の大合併において、小豆郡3町の合併が決裂した経緯があります。島の商業中心地であり、高松や岡山への航路が集中する島の玄関口ともいえる土庄町。そして醤油やつくだ煮などの地場産業が集積し、二十四の瞳映画村や寒霞渓(かんかけい)など小豆島の観光を支える内海町。双方がお互いの主張を譲らず、結果、内海町と池田町の2町が合併して小豆島町になり、土庄町はそのまま残ることになりました。現在、合併したことによる地方行政へのメリットとデメリットは全国的に状況が異なり、ここで僕が書くことではありません。

しかし思うのは、小豆島という小さな島ひとつをとっても、お互いの町で利権や主張がぶつかり合うのです。全国の隣接する農村同士でも似たようなことが今まで繰り返されてきたのではないでしょうか。でも、どうやら今はそんな兄弟げんかをしている場合ではないところまで、過疎化という社会的な課題が押し寄せています。昔ならヨソ者扱いで済んでいたものが、今では少子高齢化の影響で限界集落になっている地域もたくさんあります。外から来た人の力も借りながら、地域を支えていかなけらばならないことは、誰よりも地元の人が一番感じていることだと思います。小豆島で、あるおばちゃんが言ってました。「移住者に対して一部にアンウェルカムな人もいるが、たいていの人はウェルカム」だと。また小豆島町のオフィシャルサイトには、堂々とこんな言葉が掲載されています。

「島への移住者受け入れを促進しています!」

そして、地に足のついた移住へのステップを、移住者へのお願いとして紹介しています。以下はその一部です。

・島内の環境を自分自身で調査し、納得した上で移住してください。
・地域に居住し、何をするのか目標・目的をもって移住してください。
・地域内に何でも相談できる人を見つけてください。(風習や生活習慣等の相談等)
・隣近所の住民とは積極的に交流し、地域に溶け込む努力をしてください。

移住者にとっては当然とも思えることを丁寧に載せているのをみて、僕は好感をもちました。文面からは島に人が来てほしい。しかも土地のことをちゃんと理解してくれる人に来てほしいという切実さが伝わってきます。僕もいずれ、これらの言葉の意味とじっくり向き合う日が来るかもしれません。

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「MeiPAM(メイパム)」の女性の方から、週末にギャラリー前の通りでマルシェが開催されていることを聞きました。そこには移住してきた若い世代の方が多くやってくるそうです。僕の活動や移住のことを知ると、ぜひ週末に来て、交流してみてはと誘われました。すごく魅力的な話です。だって、実際に移住された方の生の話をいろいろな人から聞けるわけです。美しい瀬戸内の海や小豆島の農村風景。子供もすくすくと育ってくれそうです。それと同時に移住前には分からなかった苦労もあるはずです。それらを受け止めながら、島で生きていくことを選んだ人たちのお話しは、僕のこれからの活動の大きなヒントになりそうです。だから本当に参加したかったのですが、週末には瀬戸内を経ち、東京に帰るスケジュールのため、残念ですがまた来ますと伝えて土庄港に戻りました。

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瀬戸内国際芸術祭は、島の元気と海の復権をテーマに掲げています。芸術祭をきっかけとして島を訪れる、僕のような人間が増えていくことで、島の未来が幸せなほうに向かっていけたらいいなと思います。
さて、フェリーに乗って今度は豊島に向かいます。

次回につづく>>



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