もうすぐ冬が終わる

12月生まれだからなのか、冬がずっと好きだった。
雪が降ると、友人は足元が悪くなることを嫌がったが、自分はそれよりもワクワクのほうが勝る人間だった。那須に来てもその気持ちは基本的に変わらない。2年前、雪道を車で走行中にスリップしてハンドルが利かなくなり壁に衝突した経験もあるが、それでも雪はやっかいで嫌いなものとは考えない。

那須の冬はとにかく寒さが厳しい。
でも厳しい自然と向き合いながら暮らすことを、チャレンジングで心躍る体験だと捉えることはできないだろうか。寒い気候条件のなかで、いかに快適な時間を手に入れるのか。
寒い状態に長く身を置くことは、健康に不安を与えるだけでなく、人をみじめな気持ちにさせる。柔軟でクリエイティブな発想ができなくなる。だから、できるだけ厳しい寒さをかわす知恵と技術を手に入れたい。

冬のために乾燥させておいた薪を燃やしたり、ロケットストーブを作ったり。アウトドアなら枝を集めてきて、火を焚き暖かいテントサイトを作る。冬の夜空のなかで炎を見つめていると、癒しと同時にシャープな感覚になり、アイディアがもりもりと湧いてくる。インドアなら熱効率を考えて冬場だけ小さい部屋で過ごす。そして静かに燻製を作ってみたり、ギターを弾いたり、友人と酒を飲んだりする。
「冬支度」や「冬ごもり」。そんな言葉が好きなのだ。

コーヒースタンドを始めてから那須高原にいる時間が多いが、自宅のある里山の集落とは違い、強い風が山から吹き降ろしてくる。冬はこれがとにかく冷たい。
お店があるのは、東北道「那須インター」から車で2分の那須街道沿い。那須に遊びに来る人のほとんどが通るメインストリートだ。だからよく人にこう言われる。

「いい場所にお店がありますね」

確かに観光客がたくさん訪れる道なのでメリットのある立地かもしれない。しかし、那須の冬場はお客さんがめっきり減ってしまう。秋の紅葉シーズンが終わると、3月までシーズンオフといっても過言ではない。個人経営のお店では1月から3月まで別の仕事をしている人もいる。経営的にも寒い時期なのだ。

それでも、自分は冬が好きだ。
ただ、那須に来てからもうひとつ好きな季節が増えた。
春が本当に待ち遠しい。冬は好きだが、寒さそのものが好きなわけではないので、やはり暖かくなるのは嬉しい。東京にいたときは今ほど春を待ち望む気持ちはなかった。田舎は季節を五感で感じ取る強さが際立っているということだろう。もう少ししたら庭の山菜も芽を出してくるし、野菜を作る季節もやってくる。いろんなことが動き出す。
そして、コーヒー屋としてもお客さんがお店に現れる季節になるのだ。
いろんな意味で春が待ち遠しい。


あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA